6月、いよいよ梅雨らしい空模様になってきました。
湿気との戦いが今年もスタートですね。
さて、今月、私の中で個人的な大事件がありました。
ランチパックです。

今月の新商品で「カルピス入りホイップ」というのが出まして、何の気なしに買ってみたら、これが激旨い。
完熟白桃バージョンもあるんですが、もう......ヤバいです(語彙力)。
私、これまで長年、菓子パン界の王様は「ミニスナックゴールド」だと信じて疑っていなかったんですよ。何十年も揺るがない、絶対王者だと...。
それが、まさかの陥落です。菓子パンの歴史が、今月、私の中で書き換えられました(笑)。
「ずっとこれが一番」と思っていたものが、新しい何かに塗り替えられる瞬間って、案外いつでもあるもんだなぁ、と。
コンビニの棚の前で、しみじみ思った6月の頭でした。
......と、肩の力を抜いた話から始めましたが、今月、もう一つ「ずっとこうだった」が変わってきている現場に行ってきまして。
台湾・台北で開催された「Computex 2026」です。

Computexというのは、もともとはPCやサーバー、その周辺のハードウェアや新しい技術ソリューションを紹介する、ガッツリ"業界向け"のトレードショウです。言ってしまえば B to B 寄りのイベント。
私がこのComputexと、年明けのCES(過去の「社長の机」でも触れましたね)に足を運んでいるのは、半分は仕事、もう半分は......正直に言えば"ガジェット好きおじさんの優越語りネタの仕入れ" のためでした(笑)。
「いやぁ、これね、現地で見たんだけどさ」って言いたいだけ、というやつです。お恥ずかしい話、はい。
ただ、ここ2〜3年で、その様相がはっきりと変わってきています。

今年のComputex、テーマが "AI Together"。
そして、初めて「AI Robotics Zone」という専用エリアが新設されました。


NVIDIAのJensen Huang氏が現地のキーノートで「Physical AIの時代がやってくる」と宣言したのも象徴的でした。
ヒューマノイドや産業用ロボット、ロボットアームに視覚カメラを載せて基板を検品するソリューション。
台湾メーカーが、ロボット関節やロボットハンドといった"体の部品" を一斉に展示している。
年明けのCESで見えていた波が、半年経ってComputexにももっと具体的な形で押し寄せてきている。そんな印象でした。
菓子パンの世界で王様が交代するように、テクノロジーの世界でも"定番" が静かに、でも確実に書き換わっている。
そんな空気を、現地で肌で感じてきたわけです。
で、これはビデオゲームを生業にしている我々の世界でも当然無視できる話ではありません。
絵や音といった "表現" の領域でのAI利用については、権利、倫理、文化、いろいろ考えなければいけないことがまだ多くあります。ここは慎重に、丁寧に向き合うべきところ。
一方で、バグの検出、テストプレイ、品質チェックといった、これまで「人の手」と「時間」で解決してきた、あるいは "時間が足りずに解決しきれなかった" 領域については、すでに大きな変化が出てきています。
プログラムコードの精査だけじゃなく、こちらが意図したゲーム設計に矛盾はないか、プレイヤーに伝えたいことがちゃんと体験として実行できる状況になっているか。そんな観点までチェックできるようになってきた。
アイディアの壁打ち、リテイク、考査のサイクル。
ここも、いままでの組み立て方からぐっと変えられるんじゃないか、という手応えを感じる場面が増えています。
ただ。
ここで一つ、私自身も気をつけたいなと思っていることがあります。
それは、「これって、本当に "ゼロ→イチ" なのか?」という問いです。
サイクルが早く回せるからこそ"作っている気" になっていないか。"考えた気" になっていないか。何かを見落としていないか。
このあたりは、これからの創作フローの中で、十二分に気をつけていかないといけないと思っています。
......まぁ、そう言っている間に、来月にはまた新しいフローが出てきて"見落とし対策" まで何かしらの仕組みが出てきているのかもしれませんが(笑)。
それくらい、スピードが早い。
そして、今月もう一つ。
同じ台北で、私にとってとても大切な時間がありました。
『Fate/Grand Order』繁体中文版の周年イベントです。



会場は、もともと瓶のキャップを作っていた歴史ある工場の跡地。古い工業の建物が、文化やイベントを発信する場として新しく生まれ変わったスペースです。
そこに、台湾のマスターの皆さんが大勢集まってくださって、一緒にFGOの周年をお祝いする時間を過ごすことができました。


国も言葉も違っても、画面の中の同じ世界で、同じサーヴァントを見つめて、同じ物語に心を動かされてきた仲間がここにいる。
会場の熱気の中で、それが本当に強く伝わってきたんです。
考えてみれば、これも一つの "書き換え" なんですよね。
瓶のキャップを大量生産していた古い工場が、今は世界中のプレイヤーが集まってデジタルの物語の周年を祝う場所になっている。
「いままで」やってきたこと・培ってきたものを全部捨てる必要はない、と私は思っています。むしろそれは資産です。
ミニスナックゴールドは、今でも美味しい(笑)。ただ、それだけを食べ続けていたら、ランチパック×カルピスの衝撃には出会えなかった。
古い工場の佇まいを残しながら、新しい体験の場へとアップデートしていく姿勢。
AIを使おうが使うまいが、モノを作る側にいる人間として"アップデートしていく姿勢" はずっと持ち続けないといけない。
その速度感は過去のどの時代よりも明らかに早くなっていることを、今月改めて実感しました。
流れを読むことは大切。でも、流されてしまったら、それはもうクリエイティブじゃない。
流れには乗る。でも、ちゃんとコントロールできる、サーフィンができる作り手でありたい。
そして、ラセングルは、そういう作り手が集まる場所でありたい。
Computexの各セッションを聞きながら、台湾のマスターの皆さんの笑顔を思い出しながら、合間に小籠包に舌鼓を打ちながら、そんなことを考えていた、今月の台北でした。
......と、台北でAIやロボティクスの進化を感じてきたところで、今回も「ラセングル的 閑話休題」です。
小野がサボっているわけじゃあ(笑)ないんですが、社員それぞれのゲームの見方や、遊び方、そして"刺さり方"も、このブログを通じて紹介していけたら面白いなと思っています。
ということで、今回はこちらのタイトルです。
◆ ラセングル的 閑話休題
『ARC Raiders』
エンジニア Sさん(2025年4月入社 新卒社員)

◆ GDC 2026での衝撃、そして荒廃した地上へ
最近話題の『ARC Raiders』。
人類がロボットに敗北し、地下での生活を余儀なくされた世界。
限られた資源を求めて、危険な地上へ赴く――。
もう、この設定だけでかなりロマンがあります。
もともと世界観には惹かれていたのですが、購入の決定打になったのはGDC 2026への出張でした。本作のロボットAIに「強化学習」が取り入れられているというセッションを聴講しまして、
「これは実際の挙動をこの目で確かめたい!」
と、一気に興味が爆発しました。
そのままセールを狙って、即購入です。
◆ 「TPS × PvPvE × 脱出」が仕掛ける、極上の心理戦
本作は、昨今トレンドとなっているPvPvE――つまり、プレイヤー対プレイヤー対環境のゲームシステムを採用しています。
他プレイヤーと激しい銃撃戦を繰り広げるもよし。
慎重に立ち回りながら、見知らぬプレイヤーと一時的な共同戦線を張って、強力なロボットに挑むもよし。
何を選ぶかはプレイヤー次第。
プレイヤーの数だけプレイスタイルがある、という自由度が大きな魅力です。
そして、このゲームの面白さを最も引き上げているのが、「脱出ゲーム」であるという点です。
どれだけ敵を倒しても、どれだけ良い物資を拾っても、生きて持ち帰れなければすべて水の泡。手持ちのリソースとリスクを常に天秤にかけながら、
「もう帰るか?」
「いや、あと少しだけ粘るか?」
「でもここでやられたら全部失うぞ......?」
という判断を迫られ続けます。
このヒリヒリ感がたまりません。
◆ 絶望と歓喜が背中合わせの、美しいゲームサイクル
ゲーム開始時は、ほぼ資源ゼロ。文字通り「身一つ」に近い状態から始まります。
最初は無料の初期装備で、コソコソ逃げ回りながら地道に物資を集める。
少しずつ装備が整ってくると、今度は欲が出てきます。
「もっと強い敵に挑んでみるか」
「他のプレイヤーにちょっかいを出してみるか」
「もう一段階、深いところまで行ってみるか」
でも、そこで負けたら全ロスト。はい、また地道な回収作業に戻ります。
この絶望と歓喜のループが、本当に中毒性が高いです。
1マッチ最大30分という、長すぎず短すぎない時間設定も絶妙です。
いい物資が拾えたら、開始5分で即撤退してもいい。
逆に、ハイリスク・ハイリターンを狙って、最後まで攻め切ってもいい。
安全策を取るか、欲を出すか。この揺らぎのバランスが、かなり見事です。
◆ 物理シミュレーション × 強化学習が魅せる、予測不能な"生きた"挙動
そして、個人的に一番刺さったのがロボットの挙動です。
多くのゲーム(『Horizon』や『モンスターハンター』など)では、あらかじめ作り込まれたアニメーションやIK(逆運動学)を使ってキャラクターや敵の動きを制御しています。もちろん、それも非常に高度な技術です。
ただ、本作では物理シミュレーションによるリアルタイム計算が取り入れられており、攻撃を当てた部位や、その時の状況によって、ロボットのリアクションが毎回まったく違います。
これが本当に面白い。
「今すっごい跳ねたな!?」
「うわっ!なんか飛んできてる!」
「挙動がすごい自然なんだよなー」
同期とプレイする最中、このような驚きは何度も起きました。
特に、四足歩行の蜘蛛型ロボット。
こちらの予測を裏切る挙動で急に跳びかかってきたときの衝撃と恐怖は、一度味わうと忘れられません。
この"先の読めなさ"こそが、プレイヤーを飽きさせないコアになっていると感じました。
◆ 総評:ゲームとしても、技術デモとしても一級品
『ARC Raiders』は、純粋なシューティングゲームとして面白いのはもちろん、ゲーム開発やAI技術の"最先端の資料"としても非常に価値のある一作だと思います。
市場を見渡しても、ここまでのレベルで物理シミュレーションと強化学習を融合させているタイトルは、かなり珍しいのではないでしょうか。
私自身、本作をきっかけに、強化学習への興味が一気に湧きました。
こんな方におすすめです。
・計画性を持って、じっくり立ち回りたい人
・ヒリヒリするリソース管理を楽しみたい人
・「本当の意味で頭の良いロボット」と戦ってみたい人
このあたりにピンとくる方には、間違いなく刺さる一本です。
地上での容赦ない洗礼が、あなたを待っています。
......と、今回もラセングルの社員ならではのゲーム目線を紹介してみました。
最後に、採用関連のお知らせです。
6月27日(土)には、2028年度新卒向けのオープン・カンパニーを開催予定です。
すでにエントリー受付は終了していますが、ご応募いただいた皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
また、2027年度新卒採用の最終募集は、6月30日(火)までとなっています。
ラセングルでゲーム開発・運営にチャレンジしてみたい方は、ぜひこの機会にご応募ください。
今後も会社説明会など、ラセングルのことを知っていただける機会を予定しています。
採用サイトや各種SNSでもお知らせしていきますので、ぜひチェックしてみてください。
では、また次回の社長の机で。
小野義徳 X(Twitter)

